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「今夜は笑えるかな」と言い「成功を祈って乾杯しましょう」の呼びかけに、一同乾杯。と同時に音楽が起り、M?E−A『退場のコーラス」で一同それぞれ去る。
アデーレがイーダとともに出、あの手紙の主がイーダでないことを知る。と、ファルケが来て、驚いて背中を向けるアデーレに「女優のオルガさんですね」。ファルケが公爵に「姉は女優のオルガさん、妹はバレリーナのイーダさん」と姉妹を紹介する。公爵に勧められて姉妹がカジノヘと去ると、そこヘアイゼンシュタインが颯爽と入ってくる。ファルケは彼を「パリのルナール侯爵」と紹介。戸惑うアイゼンシュタインに公爵はウォッカを勧め、『好き勝手にするのがしきたり』とM?F「我が家のしきたり」のクープレを歌う。再び三人が乾杯しているところヘイーダとともに戻ってきたアデーレは、アイゼンシュタインと鉢合せ。仰天する二人を見た公爵が、それぞれを「ルナール侯爵」「女優オルガ」と紹介すれば、開き直ったアデーレはすっかり女優になりきり、小間使と人違いされたことに憤慨して見せ「許せないわ」−。公爵がファルケに「今夜は笑えそうだね」と囁けば、入ってきた客たちとともにオルガのM?G「おかしな方」のクープレとなる。『馬鹿げた間違い』とますます大胆になるオルガに、ルナール侯爵は平謝り。そこへ今度は、シュヴアリエ・シャーグラン閣下こと刑務所長フランクが登場し、ルナール侯爵とのチンプンカンプンのフランス語による運命的な出会いとなる。一同爆笑。「花を愛ててから食事にしましょう」との公爵の誘いに、一同は温室へ去る。
仮面をつけハンガリーの伯爵夫人となってロザリンデが現れる。ファルケに促され見れば、夫が若い女と腕を組んで−「あれはアデーレ。それも私の服までチャッカリ着込んで−」。ファルケが「明日の朝までは我慢して」とたしなめれば、ロザリンデも「明日が楽しみ」。と、すっかり意気投合したルナール侯爵とシャーグラン閣下が笑いながら出れば、二人の視界に妖かしの伯爵夫人の姿が飛び込む。同時に歩を進める二人。しかしシャーグランは「友情のしるしに」とルナールに譲り、ファルケと去る。
近づいたロザリンデにアイゼンシュタインは、例の“鈴の音時計”をかざす。「あれこそ浮気の最高の証拠!」と何としてもロザリンデは、わが手にと、音楽が起り、二人のM?H「時計の歌」となる。ロザリンデが『(胸のときめき)数えてみれば!』と歌えば、アイゼンシュタインは彼女の手をとり脈を数える。ロザリンデは、手で脈を取るんじゃないわよ、と思わず数えながら「7の次に9」と言えば、アイゼンシュタインはまじめに「7のあとは8」です。ロザリンデは色気たっぷりに「あなたは手でなく私の胸で時を数え、私にその時計を」と。アイゼンシュタインは夢中で彼女の胸に顔を埋めれば、時計はまんまと彼女の手に−。ロザリンデは凱歌をあげて、からかえば、『とんだ恥さらし』と悔やむアイゼンシュタイン。その時、一同が戻り、「マスクをはずして」と言うアデーレを、公爵は「好き勝手にするのが我が家のしきたり」とたしなめる。イーダは「本当にハンガリーの方〜」と疑い、「何で証明するの?」と迫るアデーレに、ロザリンデは艶然と微笑み、「音楽で!」と激情奔るM?I「チャールダーシュ」を歌う。一同は興奮に包まれ大拍手。公爵の「食事にしましょう」の言葉に人々は歓声をあげる。芝居幕が降りワルツ王のポルカM?I−B「浮気心」が起り、ケルントナードーア・オペラ座バレエ団が繰り出し華やかに踊る。
バレエ団が去ると芝居幕が上り、賑やかな食事の中、公爵がファルケに、“こうもりの話”をしてくれ、とせがむ。アイゼンシュタインは「この話なら僕にまかせて下さい」と言って、4年前の出来事を、腹をかかえて笑いながら語り始めた。
4年前、あるお城の仮面舞踏会の帰途、ファルケはこ

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